"もの"を作る新しい技術を探して
実験室のビーカーでは簡単に合成できる物質も、大きな装置で大量に合成しようとすると途端に難しくなります。化学工学は、そのような工場規模で「もの」を作るための原理や技術の開発を対象とする学問です。ですから、化学反応を伴う研究ばかりではありません。装置や管内の流体の流れ方、物質移動なども重要な研究対象です。私たちの研究室でも、高分子微粒子の高効率合成法の開発など化学反応を扱う研究が半分で、残り半分はエマルションの調製法や微小流路内での二流体の流れ方などを対象とした研究を行っています。
研究室で現在取り組んでいる研究テーマは大きく二つに分けられます。
一つは,物質移動及び反応操作を組み合わせたプロセスの開発とそのメカニズムの解明に関する研究で,
① 微粒子合成プロセスに関する研究
w/oエマルションの微小液滴を反応場とした導電性高分子微粒子の合成
溶媒抽出-水熱合成法による酸化亜鉛微粒子の合成
② ケミカルハイドライドによる水素貯蔵システムに関する研究
炭素担持白金触媒によるシクロヘキサンの脱水素反応
などを行っています。
いま一つは,物質移動操作や反応操作に利用される装置の流体工学的な研究です。主なテーマとしては
③ 異相系の攪拌・混合操作に関する研究
噴霧乳化法を用いたエマルションの調製
④ 微細流路(マイクロチャネル)内の流動に関する研究
Y字型マイクロチャネルにおける油水二相流の流動挙動の解析
などがあります。